特許出願を依頼するタイミング

この記事では、特許事務所に出願を依頼するタイミングについて解説します。

新しい製品や方法ができあがる過程は様々あろうとかと思いますが、典型的には次のようなると思います。
(1)課題(問題点、要望)を認識する。
(2)課題を解決する手段を理詰めで、あるいは試行錯誤して見つける。
(3)細部を設計して製品化・実用化する。

特許の世界では、「発明=課題を解決するための手段」という捉え方をします。
そのため、実際の製品ができていなくても解決手段が具体化していれば発明は完成していると考えます。
上の過程でいうと(2)までできていれば特許出願をすることができますので、この時点でご相談ください。
製品としての完成まで待つ必要はありません。

たとえば、コンクリート橋を架ける方法としてムク断面の板を架け渡す形式(床版橋)が知られていたとします。
今日では様々な形式の橋が知られていますが、床版橋しか知られていないと仮定して書きます。
また、発明の完成ということだけに着目し特許が取れるかどうか(進歩性があるか)は考慮していません。

板は簡単に作ることができ、架設も簡単ですが、スパン(支点と支点の間の距離)が長くなると板を厚くしても板の強度の増加よりも自重の増加の方が勝ってしまい設計不能となるという課題があります。

このような状況で「従来よりも長い床版橋」というだけでは、それが欲しいという願望を表明しただけで、具体的な解決手段が示されていませんので、発明したとは言えません。「タイムマシンがあったらいいな」というのと同じです。

一つの案として、「断面に中空部を設けた床版橋」が考えられます。
これでしたら、「断面に中空部を設ける」という解決手段が具体的に示されていますので、発明は完成しています。
ムクの板と断面積が同じ場合、板厚を大きくすることができるため強度が増加しスパンを長くできます。
たとえば、下の図程度のものを用意していただければ、十分出願することができます。
中空部の形はどんなものが良いか、大きさはどれくらいが良いか、なども提示していただければなお良いですが、細部の寸法や配筋まで入った実際の設計図までは必要ありません。

画像




別な案として「従来より軽いコンクリートで作った床版橋」も考えらます。
たしかに、従来のコンクリートと強度が同じであれば、あるいは多少強度が落ちたとしても自重の減少のメリットの方が大きければスパンを伸ばせる可能性があります。しかし、肝心の「従来より軽いコンクリート」がどのようなものか具体的に示されていませんので発明が完成しているとは言えません(現在では軽量コンクリートが各種実用化されていますがこの例の時点では知られていなかったとします)。

上記の案を具体化して「骨材を軽石としたコンクリートで作った床版橋」であれば、ここにいう「軽石」とは何か多少詰める必要があるかもしれませんが「骨材を軽石とする(その結果軽くなる)」という解決手段が具体的に示されていますので、発明は完成しています。なお、このような場合は、私たち弁理士は「そのコンクリートは床板橋以外にも使えますよね、「骨材を軽石としたコンクリート」とされては」と提案すると思います。

もちろん、上記のような過程を意識することなく製品が完成する場合もあろうかと思います。
そんなときは「これ特許になる?」とお気軽に相談ください。お客様にうかがいながら、その中に含まれている発明を抽出していくことになりますが、これは多くの弁理士にとってとても楽しい仕事です。







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